「やる気が出ない」
「勉強を始めても続かない」
「モチベーションがある人とうまくいかない人の違いは何だろう」
受験勉強をしていると、このような悩みを抱えることがあります。
実は心理学では、やる気は気合いや根性だけで決まるものではなく、周囲の環境によって大きく左右されることが分かっています。
今回は教育心理学で非常に有名な「自己決定理論(Self-Determination Theory)」を解説します。
結論
自己決定理論によると、
・自分で選んでいる感覚(自律性)
・できるようになっている感覚(有能感)
・周囲とのつながり(関係性)
この3つが満たされるほど学習意欲は高まりやすいことが示されています。
また、教師や保護者が命令するよりも、自主性を尊重した方が学習成果につながりやすい可能性があります。
研究概要
この論文はカナダのラヴァル大学のFrédéric Guay氏によるレビュー論文です。
自己決定理論に関する多数の研究を整理し、
・どのような動機づけが成績向上につながるのか
・やる気はどのように生まれるのか
・教師や親は何をすると良いのか
をまとめています。
自己決定理論とは?
自己決定理論では、
人間は本来、
・成長したい
・上達したい
・挑戦したい
という欲求を持っていると考えます。
しかし環境によってその欲求は伸びたり失われたりします。
つまり、
「やる気がない人」
ではなく、
「やる気が出にくい環境」
が存在するという考え方です。
やる気を生み出す3つの心理的欲求
① 自律性(Autonomy)
自分で選択している感覚です。
例
・参考書を自分で選ぶ
・勉強計画を自分で決める
・学習方法を工夫する
「やらされている勉強」よりも、
「自分で決めた勉強」の方が続きやすいと考えられています。
② 有能感(Competence)
成長を実感できる感覚です。
例
・昨日解けなかった問題が解ける
・英単語テストの正答率が上がる
・模試の偏差値が上がる
小さな成功体験の積み重ねが重要です。
③ 関係性(Relatedness)
周囲とのつながりです。
例
・応援してくれる先生
・一緒に頑張る友人
・支えてくれる家族
孤独感が少ないほど学習意欲は高まりやすいとされています。
受験勉強への活かし方
勉強計画を自分で作る
親や塾に言われた通りにやるだけではなく、
「今日は何をやるか」
を自分で決めましょう。
成長記録を残す
解いた問題数
単語数
模試の成績
などを記録すると有能感が高まりやすくなります。
小さな成功体験を積む
難問ばかり追うのではなく、
標準問題を確実に解けるようにすることが重要です。
自己決定理論でも、
有能感は学習意欲を高める重要な要素とされています。
私ならこう活かす
私自身も勉強が進まない時期は、
「今日は何時間勉強するか」
ではなく、
「今日はどこまで進めるか」
を決めた方が継続しやすいと感じました。
また、できたことを記録すると勉強への抵抗感が減りやすくなりました。
やる気を待つのではなく、
やる気が生まれる環境を作ることが大切だと感じます。
個人差はあるのか?
もちろんあります。
しかし自己決定理論では、
才能よりも環境要因の影響を重視します。
つまり、
現在やる気が出なくても、
勉強環境や学習方法を変えることで改善する可能性があります。
この研究の限界
この論文はレビュー論文です。
そのため、
「この方法を使えば必ず成績が上がる」
ことを証明した研究ではありません。
また文化や年齢によって結果が変わる可能性があります。
おすすめ教材
・『やる気に頼らず「すぐやる人」になる37のコツ』
・『Atomic Habits(ジェームズ・クリアー)』
・『学びを結果に変えるアウトプット大全』
いずれも習慣形成やモチベーション維持に役立つ書籍です。
FAQ
Q. やる気が出るまで待つべき?
A. 待つよりも、まず行動を始める方が有効です。
Q. 勉強計画は細かい方が良い?
A. 自分で決めた計画であることが重要です。
Q. 親や先生はどう関われば良い?
A. 命令するよりも選択肢を与える方が良いとされています。
まとめ
・やる気は才能だけで決まらない
・自律性、有能感、関係性が重要
・勉強環境によってモチベーションは変わる
・小さな成功体験が継続につながる
・自主性を尊重することが大切
やる気が出ない時は自分を責めるよりも、環境を見直してみると良いかもしれません。
参考文献
Guay, F. (2022).
Applying Self-Determination Theory to Education: Regulations Types, Psychological Needs, and Autonomy Supporting Behaviors.
Canadian Journal of School Psychology.
DOI:10.1177/08295735211055355


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